ワタリウムではジョン・ルーリー展、愉快です!+エスパス・ルイヴィトンではボルタンスキー作品

 
夕立の ふりそこなひに 出会ひけり     (加藤 郁乎)

 まだ梅雨の真っ最中ですから、夕立を出すにはちょっと早いのですが、句集『初昔』(1998年)のなかにこれを見つけて面白いので引きました。「ふりそこなひ」とはどういう様子を言うのでしょう?イクヤ―ノフ氏、例によって形而情学的難解俳句、です(笑)。

 先日、外苑前駅近くのワタリウムを久しぶりに訪ねました。7月7日まで、ジョン・ルーリー展(John Lurie Walk This Way)をやっています。美術館の前でチラシを撮ってみました。

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 ジョン・ルーリーといえば、本業はサックス奏者で、自分のバンド「ラウンジ・リザーズ」を率いていましたが、80年代のはじめにジム・ジャームッシュ監督の映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ダウン・バイ・ロー』で主演して、個性派俳優として人気者でした。ヴィム・ヴェンダース監督の弟子筋、として紹介されたジャームッシュ監督、日本でのこれらの映画作品の配給はフランス映画社のBOWシリーズだったので単館ロードショーでしたが、これらを映画館で観た時の新鮮な感動はいまも忘れられません。

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 しかしジョン・ルーリー、1990年代後半にライム病という難病にかかってしまい音楽と映画の世界からは引退、そのかわりに絵を描きだしたそうです。ワタリウムでの彼の展覧会は今回が二回目だそうですが、2F、3F、4Fと三つのフロアにはかなりの数の作品が展示されています。

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 さあ2Fフロアから順に観てゆきましょう。館内、若い女性を中心にけっこう観客が入っているのは嬉しいですね。

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ジョン・ルーリーの絵にはよく動物が登場しますが、この動物たちがまた、ヘンテコで面白い。みんな弱っちい感じだけど、のびのび自由に振舞ってます。2Fの主な作を紹介します。

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 フロアの隅では、ジョンが監督したフィルム作品「Fishing With John」の映像が流れています。釣りが趣味のジョンが、親しい友人と釣りに出かける、その様子を撮影したものですが、おや、これは日本の制作会社のテレコムスタッフがプロデュースしてますね、1991年のだ。しかしその一緒に釣りをする友人、というのが豪華版です。ジム・ジャームッシュ、トム・ウェイツ、マット・ディロン、ウィレム・デフォーにデニス・ホッパー、というのですから。ここでは、ジムとトムとマットの三篇が上映されています。ジャームッシュ監督とNYから車でドライブして海岸の街へ。そこでサメ釣りの冒険です。おたがいジョークを言い合いながら、ですが、このバカバカしさがいいのです。

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 3Fと4Fに展示されたなかからも紹介します。なんでもNY時代にはあのバスキアとも交友があった、といいますから、ジョン・ルーリーの画才はなかなか大したものです。愉快な時間を過ごせました。

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 また別の日、表参道にルイ・ヴィトンを訪ねました。

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 エレベーターで7Fまで。ここはエスパス・ルイ・ヴィトン東京というアート作品の展示スペースです。ファンダシオン・ルイ・ヴィトンは、現代アートを専門とする芸術機関のよし、ここが所蔵する作品を展示しています。無料で鑑賞できるのはありがたいですね。現在は、クリスチャン・ボルタンスキーの「アニミタス」シリーズの二作を展示しているので行ってきました。

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 こちらは、「アニミタス「死せる母たち」」(2017年)です。このシリーズは、人里離れた広大な野外に設置されたインスタレーションをヴィデオ映像に収めたものですが、イスラエルの死海の岸辺が舞台です。1944年9月6日の作家の誕生日の星空をなぞるように、風鈴が配置されています。風鈴の音色が「星々の音楽と漂う魂の声」のように響いています。

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 それからこちらは、「アニミタス「ささやきの森」」(2016年)です。舞台は、瀬戸内海の豊島。これは、三年前かな、庭園美術館の個展でも展示されていました。こちらは11月17日まで公開しています。しかしボルタンスキーといえば、ちょうどいま、国立新美術館で回顧展である「LIFETIME」を開催中ですね。これは追ってじっくり鑑賞してきましょう。

 お別れの引用句、久々にベンヤミンの切れ味鋭い警句から、としましょう。

「憂鬱(スプリーン)のとりこになっている者の意識は、世界精神のミニチュア・モデルである。そこには永遠回帰の思想も数え入れられるかもしれない。」
        
             (W・ベンヤミン 『パサージュ論』第3巻)

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