原美術館、現在は加藤泉展です+帰帆さんのソロアルバム「SAYONARA」に作詞で参加しました


 鐘の音の きらめき散るや 秋の風     (松本 邦吉)

 ここしばらく東京は秋晴れが続きます。明るい陽射しのなかで風にのってお寺の鐘の音が聴こえてくるのでしょう、鎌倉あたりの情景かな。それを「きらめき散る」と表現しています。詩人の松本さんの二年前の句集『かりぬひ抄』からの一句。

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 いきなり横長画面の油彩画との2S?で失礼しましたが、現在、北品川の原美術館では「加藤泉 LIKE A ROLLING SNOWBALL」展を来年の1月13日まで開催しています。原美術館、まったく残念なことですが、昭和13年に竣工された建物の老朽化のために来年の12月で閉館が決定されました。ここでの企画展、もう二回くらいは観られるでしょうか。1979年の開館でしたから、41年間の活動ですね。

 お気に入りの現代アート専門の美術館でした。劇作家の故如月小春(古い友人でしたが、2000年に44歳で早世しました)は、「東京で一番私の好きな空間が原美」とよく言っていました。ここを訪ねるのもあと何回かか、といささか感慨にふけりながら、新作の絵画と彫刻が約30点展示されたそれぞれのフロアを巡りました。

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 今回のアーティストの加藤泉は1969年島根県生まれ。ムサビの油絵科を出て活動を始めます。「原始美術を思わせるミステリアスで力強い人物表現を特徴とする」とされますが、タイトルのないどの作にも共通するのが、この人物像です。2000年代から彫刻も手掛けだし、近年では石やビニール、ファブリックなども素材にしたり、版画にも取り組むとか。さらに紹介しましょう。

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 館内、あっという間に鑑賞を終えましたね(笑)。作品たち、面白くないわけではないのですが、当方には奈良美智の作に通じる希薄感、軽量感を覚えざるをえず、原始美術というのなら、昨年の当ブログでご紹介した山梨県北杜市のアフリカンアート・ミュージアムで観た、ナイジェリアのベニンのブロンズ像やヨルバの木彫のほうによほど強く惹かれます。

 原美術館の建物には後ろ髪を引かれながら、入口の看板を撮影して、館の裏に回ってみましょう。そこには、なんと2000坪の広さがあるという緑と水の庭園があるのです。御殿山庭園。なかを自由に散策します。茶室や大量の水が流れ落ちる野外彫刻?があり、脇にはなんとチャペルまで。ホテルやマンションやオフィスビルが集合した御殿山トラストシティのものだそうです。なんとも豪勢です。

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 話題は変わります。学生時代に組んでいたロックバンドでは、二曲、オリジナル曲がありました。「鴉」と「紅い花」です。ともにギタリストの南聖二が作曲したリフとコード進行を僕が家に持って帰り、狭いアパートでギターを弾きながら、歌詞をつけたもの。さあそれ以来ですから、43年ぶりですね、僕には三つ目となる作詞をしました。タイトルは「路地の天使」といいます。帰帆(きはん)という名前で富山で音楽活動をしている友人からのリクエストで書き下ろしました。

 歌ってピアノを演奏する帰帆さんが出したばかりのソロアルバム「SAYONARA」、9曲が収められてしますが、そのなかの1曲です。まずCDジャケットをご覧ください。

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 ジャケットに使われた版画は、歌川芳虎という浮世絵師が、明治の初めです、1871年に制作した「東都八景之内 TAKANAWANOKIHAN」というものです。確かに帆船が港に帰ろうとするところで、手前には蒸気機関車?が描かれています。橋上には見物の群衆。まだ髷を結っています。「高輪之帰帆」、ここから「帰帆」という名前をとったわけですね。

 では、「路地の天使」、歌詞を紹介しましょう。

8 路地の天使
作詩 林浩平 作曲 帰帆

しっ! 静かに
天使が 路地を よぎってゆく

しっ! 聴こうよ
天使が 口笛 吹いている

植木鉢と自転車並んだ この路地に
スニーカー履いた 天使がいるよ
夕飯の支度 コトコトいう音
天使がとまって 台所をのぞく

雨があがり夕陽が射せば 安心だ
天使は微笑んで 空をながめた
夕刊を配る 少年の目には
そこにいる天使の 姿は見えない

ぼくは追いかける よぎってく天使を
手にしてるのは ランボー詩集
天使よ 待って! ねえ これ読もう
きみは 「永遠」 見てきたのかい?


しっ! 見てごらん
天使が バラを 嗅いでいる

さあ 祈ろう
路地の 天使に 幸ありますよう

天使の履いたスニーカー くつひもに
黒い仔猫が じゃれついてきた
天使はわらって 仔猫を抱いたよ
猫はおどろき ニャアーとひと声

路地の家の窓に洗濯もの 白いシャツ
女の手が出て シャツをとりこむ
仔猫を抱いた 天使は知っている
彼女は一日 幸せだったと

ぼくは追いかける よぎってく天使を
手にしてるのは ランボー詩集
天使よ 待って! ねえ これ読もう
きみは 「永遠」 見てきたのかい?


 はい、以上です。この歌詞に帰帆さんが曲をつけて、そしてピアノ独奏で歌っています。マスター音源がYOU TUBEにアップされていますので、どうぞお聴きください。

 https://www.youtube.com/watch?v=cMfMJd7VreQ&feature=youtu.be

 いかがでしょう、アヴァンギャルド・ポップ、というところでしょうか。ジャズ感覚が生きています。

 アルバム「SAYONARA」、オリジナルの楽曲の他に、「月光値千金」とか、細野晴臣の「ろっかばいまいべいびい」とかのカヴァー曲も含まれます。さあ、さらにもう二曲、アルバムのトップのオリジナル曲「夢の続き」(僕の好きな曲です)と二曲目の、こちらも元はっぴいえんど組が創った名曲です、松本隆作詞、大瀧詠一作曲の「空飛ぶくじら」、お聴きくださいな。

 https://www.youtube.com/watch?v=GWrnLfLk6Jw&feature=youtu.be

 https://www.youtube.com/watch?v=f-89OHH-BC0&feature=youtu.be

 このアルバムの発売は、Ishi‐G雑楽工房、定価は1500円です。

 今週の金曜日、11月22日の19時から、アルバム発売を記念して、帰帆さんのライヴがあります。彼女もメンバーの一員として活動する、てんぱってアレー(もちろん、ティンパンアレーのパロディですね(笑))がサポートします。会場は、富山県高岡市のウイング・ウイング高岡にあるLittle Wingというホール?です。

 お別れの引用句、高岡に所縁のあった大伴家持の歌、としましょう。家持は、30歳代の前半を越中守としてこの地に赴任したのでした。

「卯の花の 咲く月立ちぬ 霍公鳥(ほととぎす) 来鳴き 響(とよ)めよ 含(ふふ)みたりとも」
                   
               (大伴 家持 『万葉集』4066番歌)

 


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