テーマ:文学

原美術館、現在は加藤泉展です+帰帆さんのソロアルバム「SAYONARA」に作詞で参加しました

 鐘の音の きらめき散るや 秋の風     (松本 邦吉)  ここしばらく東京は秋晴れが続きます。明るい陽射しのなかで風にのってお寺の鐘の音が聴こえてくるのでしょう、鎌倉あたりの情景かな。それを「きらめき散る」と表現しています。詩人の松本さんの二年前の句集『かりぬひ抄』からの一句。  いきなり横長画面の油彩画との…
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富山県の五箇山の合掌造りを訪ねました+「アナホリッシュ國文學」第8号「特集・太平記」が誕生です

 秋風や 子供二人が 草の中       (坂内 文應)  刊行されたばかりの句集『天真』からまた一句を。文應さんは曹洞宗の僧侶ですから、「首座(しゅそ)」とか「梵唄(ぼんばい)」、「遺偈(ゆいげ)」などといった禅宗特有のムツカシイ言葉も句集には散見されます。この句、シンプルな語彙で素直な言い回しですが、しかし、どこかに禅味が…
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富山県美術館では「瀧口修造/加納光於《海燕のセミオティク》2019」展が始まりました。オープニングに参加しました。

 為にする 俳句はしらず 初しぐれ     (加藤 郁乎)  句集『初音』から引きました。この句集は1998年の刊行。イクヤ―ノフ氏晩年の句が並びます。俳句とはなにか、というモチーフも近代俳句以来よく詠まれますが、『初音』にもかなり目立ちます。こちらは冬季の作ながら、「俳人に遠い人ゐる寒さかな」なんて作も。ともに凡庸な俳人を揶…
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愛媛紀行(続)・大洲の臥龍山荘と少彦名神社(参籠殿)を訪ねました

 大いなるものが過ぎ行く 野分かな     (高浜 虚子)  台風19号、稀代の雨台風となったようで、各地での大河の氾濫、特に千曲川の堤防決壊による浸水を伝えるニュースには驚かされました。新幹線の車列が水没している!これも地球温暖化が生んだ惨状でしょう。虚子のこの野分の句は、雨よりも強風をともなう大きな台風が通ってゆく気配を詠…
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愛媛紀行・久万美術館の企画展を観ました+松山市内の久米官衙遺跡群を見学、これには唸りました

 野分吹き返し立てたり 雲の峰    (高橋 睦郎)  睦郎氏の句集『十年』で詠まれた野分、つまり台風の句です。台風の強い風が雲の峰を立てていった、と風雅に表されますが、目下日本列島を狙う今年の19号は、史上最強!のものとか。とても俳句になど詠んでいる場合ではありません。  台風19号の接近が先週でなくて良かったです。先…
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リボーンアートフェスティヴァル、吉増剛造さんの「詩人の家」を訪ねました+出演した「放送大学」特別講義、9月28日に…

 刃を入れるべく 紅き林檎をぬぐひけり    (木下 夕爾)  詩人の木下夕爾は俳句も作りました。句作では久保田万太郎の指導を受けたこともあるとか。なるほど、よくわかる気がします。さりげない人事面を素材とした抒情句ですから。さて九月も半ばをすぎて、林檎の季節になってきましたね。  8月3日に始まり、9月29日まで…
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DIC川村記念美術館では画家の彫刻展OP+恵比寿のMA2では手塚愛子展とシス書店は赤木仁展です

 鳴く蟲の ただしく置ける 間(ま)なりけり    (久保田 万太郎)  9月も半ばとなり、夜に外に出ると、秋の虫の声が大きくなりました。万太郎、本職は劇作家で演出家。ですから、虫の声だって間を測って聴いていますね(笑)、さすが。さあやっと涼しくなってくれるでしょうか。  千葉県の佐倉市にあるDIC川村記念美術館…
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和歌山市の加太と堺市を歴史散歩。堺市では短歌結社「未来」の大会へ。

 瑠璃沼に 滝落ちきたり 瑠璃となる      (水原 秋櫻子)  この「折々の句」コーナーにこれまで秋櫻子の句を引いたことはなかったと思います。が、佳い句をたくさん残していますね。客観写生、対象の色彩は明るく輪郭は鮮明、滝の涼気がよく伝わります。虚子の世界をうんとモダンにしたものでしょう。  先日は郷里の紀州和歌山への…
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国立新美のボルタンスキー展、見応えがあります+『荷風と玉の井』トークイベント、なかなかの盛況でした

 金魚大鱗(きんぎょ たいりん) 夕焼(ゆやけ)の空の如きあり   (松本 たかし)  関東地方、やっと長い梅雨が明けました。この句、赤い金魚の大きな鱗を詠んだものですが、例えられた夕焼けの空、まさに梅雨明けの真夏の夕空、でしょうね。作者は、明治39年に宝生流の能役者の家に生まれたのですが、病身のために能楽の世界に生きることを…
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ワタリウムではジョン・ルーリー展、愉快です!+エスパス・ルイヴィトンではボルタンスキー作品

  夕立の ふりそこなひに 出会ひけり     (加藤 郁乎)  まだ梅雨の真っ最中ですから、夕立を出すにはちょっと早いのですが、句集『初昔』(1998年)のなかにこれを見つけて面白いので引きました。「ふりそこなひ」とはどういう様子を言うのでしょう?イクヤ―ノフ氏、例によって形而情学的難解俳句、です(笑)。  先日、外苑…
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掛け軸を鮎の絵に替えました。美術品、ご覧ください+四季派学会の夏季大会は29日、ゲストは作家の島田雅

   黴(かび)の香に わかれて書庫を いでにけり      (久保田 万太郎)  書庫の蔵書が、梅雨の季節、黴の匂いを漂わせている、というのでしょう。こうした本は和本かな。劇作家で俳人でもあった万太郎、その家の書庫にはどんな書物が架蔵されていたのかなと想像します。句集はもちろんですが、江戸期の歌舞伎関連の版本などが多かったので…
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笠井叡さんの舞台「神々の残照」、壮観でした+世田谷美術館では小野二郎展、お見逃しなく!

 白牡丹 ひらきかかりて 暮れてをり     (長谷川 櫂)  初夏、梅雨になる前あたりの風景でしょう。牡丹の花の白さが夕靄のなかに映えるよう。櫂さんの第二句集『天球』(1992年)から引きました。初々しい情感が出ています。さあ今年もはや六月を迎えました。  5月25日(土)の午後でした。半蔵門駅で降りて、久しぶりに国立劇場…
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東博の東寺展、帝釈天像は見逃せませんぞ+府中市美のへそまがり日本美術、愉快でした

   乙鳥(つばくろ)や 小路名多き 京の町    (井上 井月)  信州伊奈の放浪俳人・井上井月(せいげつ)は江戸末期のひと。「乞食井月」と称され、最期は路傍に野垂れ死にだったそうですが、品のある佳句をたくさん残していて、芥川龍之介がファンでした。現在、『井月句集』は岩波文庫です。燕を詠んだこの句、確かに燕の視線からは、京の町…
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放送大学・特別講義「風狂」篇に出演します+掛け軸の絵師・川島草堂は熊楠の友人

  春たけぬ 蝶のもろ翅の うすきまま      (吉岡 実)  詩人の吉岡実さんの句集(没後出版です)『奴草』から。モンシロチョウの薄くて白い羽をイメージしての句でしょう。現代詩の世界では前衛派の吉岡さんでしたが、俳句の実作者としては、庶民の暮らしに哀歓の情を詠う作を残しました。今年の春ももうすぐ五月、というのに、このところ…
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砂丘館では加藤啓展と俳誌「白茅」創刊記念イベント+新潟の「豪農の館」に感動しました

   春寒や 棄民にとほき 夕ごころ      (安東 次男)  俳句のなかに「棄民」なんていう言葉を持ってくるところは、さすがあんつぐさん、です。棄民、政府によって切り捨てられた元自国民、という意味ですが。詩人の中村稔さんが、「普通の俳人の俳句とは違うところがある。句以前の世界の拡がりがあり、その世界が十七文字に凝縮されている…
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原美術館の「自然国家」展、オープニングに参加、刺激的です+水族館劇場、観ました!

 春愁の 人しやがみ 野は曲るなり    (高橋 睦郎)  睦郎氏の句集『十年』から引きました。これ、「しやがみ」も「曲る」も、典拠は西脇順三郎でしょう。晩年は俳諧的な諧謔を重んじた西脇でした。西脇ワールドに春愁をとり合わせたところが、この句のお手柄。面白い一句です。  北品川の原美術館では、「自然国家 Dreami…
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デュシャンと全裸でチェスをするのはイヴ・バビッツ+川村記念美のJ・コーネル展のオープニング

   噴水の りちぎに噴けり 万愚節      (久保田 万太郎)  季語の万愚節(ばんぐせつ)は、エープリルフールのこと、四月馬鹿とも言いますね。今年は明日がそれにあたりますが、今年の4月1日は特別です。平成に替わる新元号の発表が、午前11時半にあるとか。4月1日の午前中ならウソをついてもOKというのですから、贋の新元号があち…
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庭園美術館では岡上淑子展、素敵です

  家に居る 漁夫に雲湧く 春の山     (飯田 龍太)  父の蛇笏はもちろん、息子の龍太も甲斐の国に生まれて育ちました。ですから、「漁夫」の一語が新鮮?ですね。川魚を獲る漁夫、と読んでいいのかな。漁を休んで寛いでいる家のうしろに雲がもくもくと湧いた、という山国の春の平和な情景でしょう。  さて、まずこのフォトコラージ…
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ブライアン・フェリーのライヴ、感動しました+ボルタンスキー展+鞍馬山を訪ねました

  春山に まつつてみたき 石地蔵      (安東 次男)  あんつぐ、こと安東次男にこんな句がありました。地味ですが、なかなか佳い句です。あんつぐさんは骨董の蒐集にもおおいに情熱を注ぎ、独特の目利きでしたが、素朴な石の地蔵さんが気に入ったのでしょう。  さて、3月11日、でした。あの大災厄から8年のこの日、大阪は難波…
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永青文庫の石仏展、いいですよ+作家・宇江敏勝さんと室野井洋子さんのこと

  宵はやく やすむ水車や 春の水   (芝 不器男)  不器男の育った愛媛県の南予の松丸村には、水量豊かな広見川が流れているので、水車もかなりあったでしょう。春は夕方になると川の流れがゆるやかになるのか、水車が動かなくなった、という情景を詠んだもの。久々にご紹介する不器男の句ですが、やはり佳いですね。  先日、目白台の…
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掛け軸を「雛人形之図」に替えました+国立新美のイケムラレイコ展、見応えあります

   原稿紙 まだ白のまま 桃の花   (森 澄雄)  森澄雄は、安東次男や金子兜太と同じ、加藤楸邨の結社「寒雷」の門下ですが、楸邨の端正な句風を一番ストレートに受け継いでいます。桃の花が咲いて季節は春、万事がモゾモゾと発動しだす季節ですのに、詩心は動かないのか、句を書こうとする原稿用紙は白いまま。わかりやすいですね(笑)。 …
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東博の顔真卿展、これは見逃せません。

   四角な冬空 万葉集にはなき冬空     (加藤 楸邨)  これは面白い作ですね。タワービルが建ち並ぶ品川あたりの情景を思い浮かべるといいでしょう。大岡信さんも「折々のうた」に選んで、「短句よく現代の空間をとらえて、ほろ苦い諧謔もある」という流石の鑑賞をしています。  現在、上野の東博では「顔真卿ー王羲之を超え…
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多摩地方、鎌倉古道を歩いて小野路宿を探訪+ブライアン・フェリーのライヴ、行きますよ

 春待つや 万葉、古今、新古今    (久保田 万太郎)  面白い句ですね。季語は「春待つや」で冬季です。詞書に「おのづと口にのぼりたる、四文字、三文字、五文字なり」とあるのを、『万太郎の一句』で小澤實さんは、「これは作者の照れが置かせたか」と注釈しています。  僕が昨年の三月まで勤めていた恵泉女学園大学は、多摩市南野2丁目…
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西脇順三郎アンバルワリア祭に参加+サントリー美「扇の国、日本」展は好企画です

   冬といふ しなやかな字を 忘れもし     (小津 夜景)  フランスはニースに在住の俳人小津夜景さんの句集『フラワーズ・カンフー』から久々の一句です。この句集、ふらんす堂主催の「田中裕明賞」を受賞しましたが、実に実にユニークな一冊。シュルレアリスムと東洋拳法と博物学と分子生物学がミックスされたような?摩訶不思議の世界。ポ…
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紀州一之宮の伊太祁曽神社と猫のタマ駅長、南方熊楠ゆかりの地を訪ねてきました

   ひもじさの 餅にありつく 睦月かな     (正岡 子規)  食いしん坊の子規らしい一月=睦月の句です。お腹が空いたな、となったら、一月は家にお餅がありました、さっそく焼いて食ったのでしょう(笑)。どことなくお正月気分も出ています。  さて、5日から9日まで、郷里の紀州和歌山に帰省をしてきました。施設に預けている老母…
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2019年です、新年おめでとうございます+「博物館に初もうで」でした

 日記さへ 楷書で書くや 松の内     (永井 荷風)  荷風先生の日記といえば『断腸亭日乗』ですが、松の内はどことなく改まった気分ですから、文字は崩さないで楷書で書く、というのですね。平成最後のお正月を迎えています。  2019年を迎えました。新年おめでとうございます。このブログも歳末の慌ただしい時期に、…
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2018年の大晦日、ロック動画とサッカー動画を恥ずかしながら…

   ふさはしき 大歳(おほどし)といふ 言葉あり   (高濱 虚子)  一年の最後の日を表わすのに、「大歳」という言葉があるが、これは大晦日の気分にはピッタリだ、という虚子先生の一句ですね。今年もまさに大歳を迎えています。平成最後の大晦日でもある次第。  さて、午前には箱根強羅の温泉別荘に籠られている吉増剛造さんにご挨拶…
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うらわ美術館のアートブック展は要注意です+東博のデュシャン展、収穫大でした

   こぞのゆき 文友詩敵 なくもがな      (加藤 郁乎) 「こぞのゆき」というのは、あの犯罪者詩人フランソワ・ヴィヨンの名フレーズ「去年の雪 いま何処」から、です。ともに文学や詩を語る友人がそばにいてほしい、雪もよいの夕暮れ時に、抱いた感慨でしょう。イクヤ先輩、晩年は江戸座俳諧の趣味が合うというので、飯島耕一さんと親しか…
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吉増剛造さん、11月以来の活動レポートです

   面白う 雪に暮れたる 一ト日かな      (高橋 睦郎)  睦郎さん、この句を師匠である安東次男さんに見せたところ、「面白う雪に暮れたり鼓せん」と添削されたとか。しかし睦ちゃん、「そりゃ安東さんなら鼓もさまになるでしょうが、僕には似合いませんよ」と当初のママにしたそうです。確かに「鼓」としたら、あんつぐさんの俳句になりま…
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