シス書店では「透明な夢」展がオープン+紀伊国屋書店イベントスペースで『荷風と玉の井』刊行記念トーク


 人ごゑに 慣れたる蠅の 黒きかな   (高柳 克弘)

 第二句集の『寒林』からです。黒い蠅も、言ってみれば夏の風物詩のひとつでしょうが、このところ蠅にしろ蚊にしろ、眼にすることがめっきり少なくなりました。蝶の姿も蝉の声も年々減っていますよ。おい、地球、大丈夫なのか、です。

 恵比寿駅前のシス書店では、「透明な夢」展が開催されています。ここは、シュルレアリスム精神が生きた美術作品を一貫して展示してきました。今回は「透明」をテーマに日本人アーティストたちの魅力的な小品が並びます。7月21日までやっていますよ。先日のオープニングに顔を出してきました。

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 上に紹介した二点は、大月雄二郎さんのドローイングと、柄澤斉さんの版画作品です。フランス在住の大月さんの個展がここであった際に、フランス文学者の巌谷國士さんのトークの会に僕も参加、懇親会でおおいに盛り上がったので、二次会を新宿のナジャまで繰り出しました。あれはもう2年以上昔のことでしたね。

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 続いては、桑原弘明さんのスコープアート作品「一夜」を鑑賞者の女性が覗いています。内部の画像をご紹介できないのは残念。次は、まりの・るうにいさんのパステル画、そして宇野亞喜良さんのアクリルなどを使ったドローイングです。いやあ、オープニングというのに、売約済のラベルの付いた作品が多いですね、結構なことです。

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 これらのオブジェ作品、最初のはNHKエデュケーショナルのディレクターで「日曜美術館」を担当する柿沼裕明さんの作です。そして箱型のオブジェは、勝本みつるさんの作。おふたりとも、きっとジョセフ・コーネルが大好きでしょう(笑)。それはよくわかります。

 コーネルといえば、つい先日、DIC川村記念美術館から、「ジョセフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」展のカタログが送られてきました。僕はこのオープニングに出席して、このブログでも詳しくレポートしています。さてこのカタログ、これの装幀が素晴らしい。ご紹介しましょう。

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 最後のは、コーネルの自筆の日記です。

 ところで一冊、作家の永井荷風について論じた新著を紹介しましょう。嶋田直哉さんの『荷風と玉の井 「ぬけられます」の修辞学』(論創社)です。

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 荷風の小説作品中のベスト、というか、戦前の昭和の小説史においても隠れもない名作でしょう、『濹東綺譚』の舞台となった私娼窟街の玉の井をめぐって、地政学や図像学などの観点から縦横に考証し分析した好著です。いやあ嶋田さん、よく調べて考察されました。実は僕は、跡見女子大で担当する「テキスト分析論」の授業では、森鴎外の『青年』と荷風の『濹東綺譚』を採りあげているのですが、両者ともに、近代の東京という都市空間を舞台とした地理小説?でもあります。本書を荷風作品を講義する際におおいに参考にさせていただきましょう。

 ここでお知らせです。本書について、著者の嶋田さんと公開対談をする運びとなりました。今月25日(木)の19時から、場所は新宿の紀伊国屋書店です。詳しくはこちらをどうぞ。

 https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20190706100205.html

 荷風文学や東京の都市論などにご関心をお持ちのかたはぜひいらしてください。さても対談に備えての予習ということもあって、『濹東綺譚』の主人公の大江匡(おおえただす)が通う私娼・お雪のいた家のあたりを見ておこうと、初めて玉の井界隈を訪ねてきました。というのも、この小説、フィクションではありますが、荷風の日記『断腸亭日乗』によれば、昭和11年のことでした、玉の井にお雪のモデルとなった女性が存在して、荷風先生、麻布のお宅からせっせと通いつめていたのです。このあたりは東京大空襲で焼き払われて、当時の建物はまったく残っていませんが、あの「ぬけられます」の路地はそのままでしょう。東武線の東向島駅、「旧玉ノ井」と駅名に添えられているのは嬉しいですが(笑)、そこで降りて界隈を探訪、デジカメで迷路のような路地を撮ってきました。

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 「玉の井町会」という文字がなお残るのも結構ですが、現在は東向島5丁目13番地となったこのあたりに荷風先生、来ていたようですね。嶋田さんとのトークで、さらに掘り下げていきましょう。

 さてお別れの前に、僕が出演しました「放送大学」特別講義のオンエアがまたありますので、そのお知らせです。「風狂を生きる精神~一休・蕭白からアラーキーまで」、45分のテレビ番組の三回目の放送が、来週18日(木)にあります。メインゲストの荒木経惟さん、アラーキーさんとの対話シーンのスナップをご覧いただきましょうか。

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 詳しい案内はこちらでどうぞ。おや、同じ日に、前作の「文人精神の系譜~与謝蕪村から吉増剛造まで」も放送されるようですね。下のほうに案内が出ています。ディレクターが違うので、二本はまったく違ったタッチの仕上がりですが、お陰さまで、ともに好評を頂戴しているようです。

https://bangumi.ouj.ac.jp/bslife/detail/70191011.html

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